
「行政上の手違い」でエルサルバドルに強制送還された移民の帰国をめぐり、トランプ大統領が連邦最高裁の判断を受け入れない姿勢を示している。
メリーランド州在住だったアブレゴ・ガルシア氏は3月15日、250人以上の移民とともに、エルサルバドルへ送還され、巨大刑務所「CECOT(テロ監禁センター)」に収容された。
トランプ政権は、根拠を示さずにアブレゴ・ガルシア氏はギャング組織「MS-13」のメンバーだと主張している。
しかし、同氏の弁護士は、アブレゴ・ガルシア氏が2011年にアメリカに来た理由は、ギャングの暴力から逃れるためであり、いかなる犯罪も犯していないと訴えている。
また、アメリカの移民裁判所は2019年、地元ギャングから迫害を受ける可能性が高いとして、アブレゴ・ガルシア氏をエルサルバドルへの強制送還から保護する判断を下している。
アブレゴ・ガルシア氏は渡米後にアメリカ市民と結婚して、メリーランド州で板金工として働いてきた。

司法省の弁護士はアブレゴ・ガルシア氏をエルサルバドルに送還した後、誤りだったと認めた。同弁護士はパム・ボンディ司法長官によりその後休職処分になった。
最高裁の判断後も、トランプ政権はアブレゴ・ガルシア氏はMS-13のメンバーで、保護資格の対象ではないという主張を続けている。
トランプ氏は14日にホワイトハウスで行われたエルサルバドルのブケレ大統領との会談で、アブレゴ・ガルシア氏をアメリカに戻さないという考えを繰り返し示した。
また、この会談でボンディ司法長官は「戻すかどうかはエルサルバドル次第であり、私たちが決めることではありません」と発言。
最高裁の判断については、「エルサルバドルがガルシア氏を戻したいのであればトランプ政権は支援すべき、つまり飛行機を用意しなければいけないという意味にすぎない」と主張した。
一方、エルサルバドルのブケレ大統領は、ガルシア氏をテロリストと呼び「もちろん私は彼を戻すつもりはない」と述べた。
「どうやってテロリストをアメリカに密入国させるというのですか?私には彼をアメリカに戻す権限などありません」