
今、MLBで話題なのが「魚雷バット(Torpedo Bat)」と呼ばれる新型バットだ。このバットは、従来のものとは一線を画す性能を誇り、多くの選手や野球ファンの関心を集めている。いったい、どのようなものなのか。
MLBの常識を覆す「魚雷バット」とは
MLB公式によると、魚雷バットは従来のバットと異なり、バットの中央部(芯の部分)が最も太くなるように設計されている。
このデザインは、打者がボールを最もよく当てる位置、いわゆる「スイートスポット」に質量を集中させることで、打球の速度と飛距離を向上させることを目的としていて、形状が魚雷に似ていることから「魚雷バット」と名付けられたという。
バットを開発したのは、元マサチューセッツ工科大学(MIT)の物理学者であり、現在はマイアミ・マーリンズでフィールド・コーディネーターを務めるアーロン・リーンハート氏。
かつてヤンキースに籍を置いていたリーンハート氏は、選手たちのスイングデータを解析する中で、「ボールを当てる場所がバットの一番太い部分ではない」ことに気付いたという。この違和感を出発点に設計されたのが、魚雷バットだ。
魚雷バットの導入で最も注目されているのが、ニューヨーク・ヤンキース。開幕からの好調の要因は、打撃面にある。ジャズ・チザム・ジュニア選手やアンソニー・ボルピー選手らが魚雷バットを使用し、開幕3試合で計15本とホームランを量産した。
一方で、魚雷バットを使用していないスター選手もいる。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手や、昨シーズンで58本の本塁打を放ったヤンキースの主砲アーロン・ジャッジ選手もこのバットを使っていない。
特に大谷選手は使用するバットにこだわっており、今シーズンは昨シーズンより約1インチ長いバットを使用しているという。
打球速度や飛距離が伸びるといわれる魚雷バットの恩恵を受けられるのは、中距離ヒッタータイプが多いとされている。一方、長距離砲として本塁打を量産する大谷選手やジャッジ選手は、各々の考えと打撃感覚を大切にしていて、バットを変える必要について懐疑的な見方を示している。
日本のプロ野球(NPB)での導入は?
日本でも魚雷バットへの関心が高まっていて、今後の動向が注目されている。
現時点で日本のプロ野球の公式戦で魚雷バットが使用されたという情報はないが、NPBへの導入も現実のものとなりそうだ。
スポーツ報知によると、今シーズン中にも公式戦での使用を容認する見通しだという。