福島県会津若松市は3月27日、幹部職員で構成する「働き方改革課題解決特別タスクフォース」の成果報告会を開催した。
少子高齢化による人材不足が地方自治体で慢性化する中、同市でも職員の転職や介護による退職が目立つようになってきたことから、2021年度から本格的な働き方改革に乗り出している。
来庁の事前アポイント制やマニュアルの作成により、残業時間が減少するなどの成果も出ており、ハフポスト日本版が24年3月に現地で取材した際には「最初は『どうせ変わらないだろう』と思っていたが、良い方向に向かっている実感がある」と、手応えを口にする若手職員もいた。
今回の成果報告会では、窓口開設時間や各種団体との懇親会の検討、議会事務局の取り組みなど、幹部職員らが取り組んできたことの成果が共有された。

窓口開設時間の短縮に向けた議論
会津若松市役所では近年、新卒1年目で転職したり、親の介護で幹部職員が退職したりするケースが出てきたため、コンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」(東京)に協力を仰ぎ、4年前から働き方改革を進めている。
タスクフォースは、この期間に出てきた全庁的な問題を解決することを目的としており、座長の目黒要一副市長など約20人の幹部職員が24年度から計9回にわたって議論を重ねてきた。
例えば、「窓口開設時間」を午前9時〜午後4時半に短縮する検討が行われた。
平日の開庁時間は通常、午前8時半〜午後5時だが、職員の準備・締め作業時間を考えると、前後30分は余裕を持たせることが必要という話になったという。
電話対応も午前9時〜午後5時以外は自動で翌日対応のアナウンスを流すことを検討するなど、窓口開設時間の短縮に向けた全庁的な議論が進んでいる。
また、勤務時間外に行われる「各種団体との懇親会」が負担になっているという声を受け、①上司に強要されない②昼食会に変更する③最小限の参加者に調整するといった、全庁的な申し合わせを実施。
文書作成などに役立つ「マイクロソフトオフィス」を必要な職員が使えるようにするほか、議会資料の作成負担の軽減に向けて「文字起こしツール」を25年度から導入することも予定している。
「時代が変わると道具が変わる」
議会事務局からは、「会津若松市議会議員の一般質問を受け付ける事務作業の平準化に乗り出した」という報告もあった。
議員は計27人いるが、3日間ある受付期間の締切直前に一般質問の提出が集中し、職員の業務を圧迫する原因となっていた。また、議員自身も一般質問の確認のため、2〜3時間待機することがあった。
そこで、1、2日目は偶数番号の議員、3日目は奇数番号の議員に一般質問を提出してもらうようにした。これにより、午後10時まで仕事をしていた職員が午後7時までに帰れるようになったほか、議員の待機時間もほとんどなくなったという。
財務部も、納税課が事務局を担っていた「納税貯蓄組合」の事務作業見直しに着手。専任職員の配置が不要となり、周囲の職員の業務負担も減少したことを報告した。
成果報告会を受け、室井照平市長は「必要な変化が生まれつつある。窓口時間の短縮など、どんどん改革しなければならない」と語った。
5月に供用開始予定の新庁舎についても、「庁舎が変わると向き合い方も変わる。これからがチャンスだ」と触れ、「文字起こしツールの導入など、時代が変わると道具が変わる。この取り組みをブラッシュアップし、全庁的な課題解決に継続して取り組んでいきたい」と意気込んだ。
市は24〜26年度を働き方改革の「定着期」としており、時差・在宅勤務の制度化などの目標も掲げている。